キスしたくなる唇に。


「先輩、どこ向かってるんですか」

「…ん? 屋上だけど」


「人が失恋する場所だった場所で違う男の人と花火見るなんて複雑すぎます」


「いいじゃん。見ようよ。どうせ君のことだから告白なんてしなかったんじゃないのぉー?」



相変わらず黒い。




意識を飛ばせたまま、一枚の扉の前までくると、何故だか慣れた手つきで屋上の鍵を開ける先輩。





…もしかして、よく来てるのかな。


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