キスしたくなる唇に。
とりあえずここで立ち止まってちゃ前に進めない!
なんてどこかの少女マンガの主人公のような決意を立てて、あたしはそこへ一歩踏み出した。
――屋上。
学際以来、はじめてきた。
でもここには絶対先輩がいる。直感じゃなくて、必然的に。
だって鍵を持ってるのは生徒の中で先輩だけだもの。
気づくとあたしは警戒心むき出しに先輩を探していて、そんな自分に多少焦った。
「――あ」
昨日よりちょっと強い風に髪をなびかせながら、長いまつげを下ろした先輩が壁にもたれていた。
寝てる。