キスしたくなる唇に。
だからあたしは先輩がたまにあたしにするように、
先輩の頬をいたずらにつねってやろうかと思った。
風の吹く音しかしないこの自然で静かな場所で、あたしは震えながらも両腕を先輩の顔に伸ばした。
――やだ、あたし、
「西野くんみたいに、俺にキスしようと思った?」
あと少し先輩に触れる、というところで、さっきまでオネンネしていた瞼がコンマ単位の速さで持ち上がった。
案の定あたしはビクっとなり、さらに先輩に両腕をつかまれさらにビクっとなり。