キスしたくなる唇に。
これきっと迷惑メールだ。やっぱりね。


あたしは『最近自分おかしくなってるからなあ』なんてぼやきながら、帰ろうとまたもと来た道へ戻ろうと足を一歩進めた。





「薮知」






…………え。

一瞬あたしと声の主以外誰もいないような錯覚に襲われる。

まあそれは単なる錯覚で。



時間が止まったのはほんの一瞬で、



「メールの主、俺」


途端にあたしの腕はつかまれ、ぐいんと引き寄せられる。


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