43歳の産声
「あんたなんか生まれてこなきゃよかったのよ」
「落ち着いてください。お母さん。」
先ほどの看護師が止めに入ってきた。
「お母さん?私の子じゃないわよ。こんな子。」
母は町外れにある小さなスナックを経営している。
父はそこの常連だった。父は酒に溺れ、女遊びを繰り返し、母を毎晩泣かした。
そんな父を母は憎んでいたし、愛していた。
母は少し頬がこけ、傷んだ髪は20代後半のわりに白髪がまだらに混じっていた。
母はそんな父に対するストレスの矛先を私に向けたのだ。
そらそうだ。その父との間に生まれた子供がおっさんのような顔をしている。
嫌気がさすに決まっている。