43歳の産声


ただとにかく私は退院したのだ。


病院は不愉快だった。

あらゆる人が私を化け物を見るかのような目で見ていた。


母もその一人だ。


父は私が生まれた時以来、病院に顔を出すことはなかった。


母は家に戻って以来、私に暴力をふるいだした。


私は幼児虐待を身を持って経験した。


「あなたは私の子じゃないわ」


口癖のように毎日それを繰り返した。


もう嫌だ。


私は生まれたくなかった。


死にたい。


その時初めてそう思った。
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