43歳の産声
母は手を止めた。そして腰を抜かした。
当たり前だ。生まれて1、2か月の赤ん坊が話したんだから。
私は続けた。
「もっと生きたい。母さんにもっと愛されたい。力一杯抱き締めてよ!ねぇ、おかあさん!生きたいんだよ、もっともっと」
母はポカンと開けた口を閉じると、灰皿を置き、私を力一杯抱き締めた。
「ごめんね。祐一郎。」
母は泣いていた。
「ありがとう、母さん。」
私がそう言うと目の前が真っ暗になった。闇に包まれた。