43歳の産声
覚醒
「………ぉとうさん……あなた……」
何か聞こえる。
私は目を開いた。闇から解放された私はどこかのベッドに仰向けに寝ていた。
「気がついた!お父さんが目を覚ましたわ!さえ!!早く先生を呼んで!お父さんが目を覚ましたの。」
聞いたことのある声だ。
ここはどこだ?
病院のようだ。
私の周りには、ぼろぼろの長袖のTシャツを着た老婆と中年女性と中学生らしき少女がいた。
けたたましい足音とともにドアが開いた。
医者らしき男が飛び込んできた。
「気がつきましたか?よかったですね。望み通りあなたは生きてますよ。」
中年女性は泣き崩れて座りこんだ。
老婆は顔一面に安堵の表情を浮かべた。