43歳の産声
私は3日間生死をさ迷ってたらしい。
そして、あんな悪夢を見た。
目には見えない何かが私に生きろと背中を押した。
どんな困難が立ちはだかろうとも生きていれば、ちょっとしたことが幸せに感じる。
母に抱き締められただけで生きていけると思える。
それが何より素晴らしい。
遠回りだが、43歳の赤ん坊がそれを教えてくれた。
私は無精髭が伸びきった口で力一杯叫んだ。
「オギャー!」
その声はなぜか執拗に痰がからんでいた。