43歳の産声
「よかったですね。立派な赤ちゃんで。」


40代ぐらいの女性看護師が私のほほを撫でた。


母は「はい。」とだけ答えた。


そのとき、急に病室のドアが開いた。


父だ。顔を見ただけで直感ですぐわかった。

「生まれたか?」

父は土木関係の仕事をしてるんだろう。きっったない作業着で早退してすっ飛んできたのだ。


やはり父は偉大だ。


ありがとう父よ。

やはり息子にとって尊敬できるのは母ではなく父だ。


「老けてるな。こいつ。」


「えっ…。」


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