恋愛妄想
その彼氏と別れてから
リカは合コンに走り
毎週末は予定を入れている。

普通なら そんな目にあったら
男は懲り懲りだと思うのに
貪欲に突進むリカは強い、と
自分はまだイケる、という可能性を信じているんだと
あたしはそう見ることにしている。


「だからさぁ、ナオ…高田君…」
「ちょ…やめてよ、年下だよ?」
「真面目に聞いてんのに…」

リカに言われると
なんとなく意識してしまう。

「ナオも過去になんかあったかもだけど…ウチら幸せにならんとね」

あたしはいつもの癖で
右斜め上を見ながら考えた。

「彼氏できると幸せかなぁ?」
「幸せじゃん?」
「苦しいし、幸せじゃないと思う」

リカはため息をついてあたしを小突いた。
それを見ていた高田君が笑ったのを
目敏く見ていたリカが
高田君に手を振ると
高田君は顔を真っ赤にした。


高田君は とにかく真面目な人だった。
口数が少なく、朴訥としていて
プライベートは話さない、
きっちり仕事をこなす真面目な人だった。

リカの計らいもあり
あたしと高田君が親しく話すようになるのに
時間は掛からなかった。

「映画の試写会当たったんだよね。
でも私この日都合が悪くて
一枚高田君に渡しといたから…これ、ナオのね」

そう言ってリカから映画のペア試写券を渡された。
「で、これ、高田君の携帯とメアドね。
適当に待ち合わせ時間決めて行っておいで」

強引すぎる。
一体何を話せと…?

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