恋愛妄想
ナオ
あたしは生田菜穂。
菜穂の名前そのまま、ナオ。

両親は離婚して、父親不在。
家族は おかーさんとおにーちゃん。
おかーさんは居酒屋など経営していて
若い頃はかなりモテたと自慢する。
確かに若い頃のおかーさんはスゴイ。
パッキンだし怖そうな細マユ。

おとーさんはあたしがまだ小さな頃に家を出て行き
あたしにはおとーさんの記憶が薄い。
おにーちゃんだって
「あんま覚えてねーなー」
と言うけど、あんまり深く聞くと怒るから聞けない。


今のご時世 両親の離婚や片親の不在なんて
珍しくもない。
中学校からの親友ヨーコんちだってそうだし。

おにーちゃんは大学生。
ウチにいたりいなかったり
いても存在感なかったり。
留年して、浪人。
いい身分だねぇと おかーさんは機嫌が悪いとよく言う。


あたしは中学校は親友のヨーコと一緒でよく遊んだりしたけど
元来の怠け癖と本番の弱さでヨーコと同じ高校へは行けなくて
私立の女子高で3年間を過ごした。

意味なく校則が厳しく
無駄に楽しい女だけの3年間。
男の子とは全く無縁だった。

恋とかよくわからなかったけど
数学の小島先生だけは別だった。

でも、今考えるとゴリラそっくり。

あの頃は凄く好きで、毎日教室の窓から見える職員駐車場を
下校時刻になると眺めてたなぁ。


とにかく


中学生の時は憧れの人はいたものの
高校生の時は彼氏なんていなかった。
そして彼氏なんて…
いらなかったわけじゃなくて…


まぁ…だいたいそんな感じ。


高校卒業して専門学校に行った。
同級生は付属の大学やら短大に行く人が多かったけど、
あたしはデザイン系の専門学校にすすんだ。
すすんだはいいけど
おかーさんにあんまり機嫌悪くなってほしくなくて
バイトとかしてる。

でも
おかーさんには悪いんだけど、
私には向いてないんだよね。
才能ないし。

無理言って入ったから辞められないけど


また課題たまっちゃってるし。
提出期限まで無理そうだし。


沢内君と会わなくなっても
あたしの日常はあんまり変わらなかった。
ただ、バイト先が違うコンビニになっただけだった。


まぁ…だいたいそんな感じ。
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