君を想う
そして私は家族で行った最後の思い出の動物園の事を話した。
今まで薫にも話した事無い話を…。

誰にも同情して欲しくも、慰めて欲しくも無かったから。

でも私はそれと同じ位誰かに話を聞いて欲しかったのかもしれない。私の本当のきもちを。

先生は最後まで黙って聞いてくれた。
自分でも喋っているうちに悲しくなって、今思えば同じ様な事を何度も繰り返して喋っていたと思う。

でも先生は最後まで黙って聞いてくれた。

その日先生が私に何て返事をしてくれたのかは正直あんまり良く覚えてない。
でもこの日から私にとって先生は誰よりも大切な特別な存在になった。

ただ唯一の人に。

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