後ろの迫田くん
なんだか無性にめがねに触れたいと思った。

至ってどこにでもあるめがねなんだけど、めがねってこんなに綺麗だっけ?そう思った。


「あっ、ちゃんと学校来てた?」


めがねに魅了されてると山口が来た。


「またー、ちゃんと払っておいでって言ってるでしょ。」


あたしの背後に回り背中をパンパンと叩いてくれる。


「ありがと、マミー。」


やっぱり頭を叩かれた。

『お母ちゃん』って言ったら怒るから『マミー』にしてみたんだけど。




「何で後ろ向きに座ってんの?」


あたしに無理矢理目線を合わせるため山口が覗き込んできた。


「めがね。」

「めがねがどうしたの?」


山口の視線はあたしに向かっているが、あたしの視線は山口を通り越してめがね男子を見ていた。

男子生徒がかけているめがねを見ていた。


「そんなに珍しいめがね?」


山口もあたしと同じめがね男子に視線が移り、めがね男子を見ると納得したようだ。


「ああ、めがねかけてるからね。あたしもめがね姿初めて見た。」


「へー」なんて頷きながら「珍しいね。」なんて言った。



やっぱり、あのめがねは珍しいのだろうか。

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