後ろの迫田くん
この前、いつものようにたじろーの隣を歩いてたら般若顔で睨まれた。


「付いてくんな。」


隣に居ろって言ったから隣に居るのに。


付いてくるな。だって!

さすがの温厚なあたしも怒っちゃうぞ!言ってる事がグチャグチャだ。



そのまま付いて言ったら、ドアの前で止められた。


「来るな。」


ムムム。に、睨んでも怯むもんか!


「・・・。」

「・・・。」


ドアの前で睨めっこしてると、内側からドアが開いた。

出てきたのは男子生徒だった。


「はぁー・・・。」


たじろーが溜め息付ながら指すから、ついつい指先の方を見てしまった。

指していたのは、トイレマークのプレート。男子トイレの。


「うむ。」


あたしは言われた通り中に入らなかった。大人しくドアの前で待ってた。



何だか忠犬ハチ公の気分だった。

あたしって偉いと思う。だって、たじろーの言い付け守ってるもん。





帰る時は学校近くのコンビニまで、たじろーの隣に居る。

そのままバイバイするのではなく、いつもチョコバーを買ってくれる。

忠犬ハチ公気分を味わった日から。


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