後ろの迫田くん
みっちゃんが登場したのはお昼ご飯の時だけじゃなかった。


たじろーの隣に並んで下駄箱に行くとみっちゃんが居た。


「あっ、やっと来た。早く帰ろ。」


約束をしてた訳じゃないのに居た。



あたしの下駄箱から下履きを出して、


「ほら、履き替えて。」


促されるまま靴を履くと、


「じゃあ迫田先輩失礼します。」


ニッコリとたじろーに挨拶をして、あたしの手を引いて校門に向かった。


「へっ?」


状況が飲み込めない。


「み、みっちゃん?」

「ん?」

「たじろーが!」


引きずられながら振り返ると、たじろーは付いて来てなかった。


「たじろーまだ、あそこだよ。」


指した方に居るたじろーは何事もなかったかのように、下履きに履き替えのんびりと歩いている。


「さっき、さようならしたでしょ。」

「へぁっ?」



した?



「失礼しますって言ったじゃん。」


言った。言ったけど、みっちゃんがだよね?


「ん~~・・・。」


考えていると校門は遠くなり、たじろーの姿は見えなくなった。



みっちゃんと一緒に帰った今日。チョコバーは食べられなかった。

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