ヒストリーラブ

「女だからな、男共、手出すなよー」


先生のニヤニヤしながら言った言葉にすぐに状況を把握した。


転校生か。


異様なテンションの高さもこれなら納得出来る。


全く感心が無くてもう一度窓に目を向けようとすれば、


「っ、おい!」

慧大がいきなり後ろを向いた。

幸い周りが騒がしくて慧大の声は周りまで聞こえなかったみたいだけど、


「三園千鶴です。」


そう言って軽く会釈した人物を見て、


「っ…!」

思い切りシリクスの腕を握った。


腕を握った手にシリクスの手が添えられる。

「ルシア…」


思わず漏れた名前に涙腺が緩んだかのように涙がこぼれた。


愛していた

最後まで

君を考えない事はなかった


突然溢れ出す気持ちに押し潰されそうになって、
どうしようもなくて強くシリクスの腕を握った。


苦しいんじゃない
痛いんじゃない

嬉しいんだけど
その裏に後悔の色が見え隠れする。

そんな変な気分。


泣いてるの、ってアリアが心配そうに聞いたのに、シリクスが心配いらないって返したのを他人事のように聞きながら涙で揺れる視界でルシアを見つめた。
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