ヒストリーラブ


「あ、天川、どうした?」


泣いている私に気づいたのか先生が慌てて駆け寄って来る。

「そんなにしんどいのか?!」

ぼろぼろと溢れる涙はアリアとシリクスに再会して以来だ。

「先生、大丈夫ですから、落ち着いて。」

慧大が笑って言うものの、先生は納得いかないようででも、と食い下がる。


もう、いいからキョトンとしているルシアをどうにかしてやって。


先生をバシバシ叩いてルシアを指差せば、先生が大きく頷いた。


「…わかった。大丈夫だ。先生に任せなさい。」


先生の頼もしさに大きく拍手をすれば、慧大に止められた。

「三園の席は天川の隣だ。どうだ、天川。嬉しいか。」

先生が満足気に胸を張ったのを見て、口が開いたまま塞がらなかった。

そっち!?


びっくりして涙なんて引っ込んでしまった。


ルシアはまたもやキョトンとしている。

あ、可愛い。
やっぱりルシアはどんな格好でも可愛いなぁ…。


「って、女じゃんか!」


ガタッと勢いよく椅子から立てば、

「え。
あ、本当だ。」


シリクスが口元を手で覆った。

「今更かよ。」


アリアが隣でボソリと言ったことは無視しよう。
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