ヒストリーラブ
「慧大帰ってきたよ?」
ダルい体を机に預けていればシリクスの席に座っていたアリアが私の肩を叩いた。
「んー」
窓の外に視線を向けながら返事をすれば、頭をわしゃわしゃされた。
「デュラン、腹、痛い?」
そのまましゃがんだのか耳元で聞こえる声に小さく頭を振った。
「ちがう。ダルいだけ」
昨日の夜は腹痛で眠れなかったから尚更。
窓の外に視線を向けたまま言えば、頭から重みが消えた。
そのまま今度はバサリと何かが頭に被せられた。
「先生来たら、起こしてやるから。」
微かに香るシリクスの匂いに笑った。
「お前の匂いは昔から変わらないな」
それが嬉しかったりもするんだ。
デュランとしての俺が存在する
それだけで安心する。
目を閉じれば、最後にポンポンと頭に重みを感じた。