ヒストリーラブ


「慧大は、悠李ちゃんと仲、よかったんでしょ?」


遠い昔の事に思いを馳せていれば、目の前にしゃがんだアリアが口を開いた。


「あぁ…多分な。」


そう言えば、アリアが困ったように笑う。


「慧大、悠李ちゃんがあれだけ話すなんて珍しいんだから、自信持ちなよ。」


アリアの言葉にぎこちなく頷く。



アリア


デュランの最愛の妹


ただ、アリアは俺が死ぬ数年前に病死した。


今でも鮮明に思い出せるアリアの死に、少し手が震える。

だから、

「絹川、」

「なに、慧大」


俺はアリアとは呼べない。

アリアはその呼び方に不満があるのか、少し悲しそうな顔をするけれど


「本鈴って何分だっけ」


俺には、呼べない

呼ぶ資格はない
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