好き、と言えば、
お母さんは「これよろしくね。お礼も言ってね」と、回覧板と夜ご飯として作っていたであろうポテトサラダの入ったタッパーを託して、バタバタと出かけていった。
夜遅くなるとはいえ、あたしも18だよ?
留守番くらいできるのに。
一人っ子のあたしは、だいぶ過保護を受けている。
それにしても、足が進まない。
時計は19時を指そうしていた。
光輝の家に行くのって、何年ぶりだと思ってんの。
中学の途中から光輝に彼女ができて、なんとなくお互いの家を行き来する習慣がなくなった。
まあ、それ以来彼女は何人かいたみたいだけど長続きはしていなかった。
はあ、どうしよう・・・。
ため息をついて、うなだれていると
ピンポーン、と軽快な音がした。
「はい」
仕方なくドアフォンに出てみる。
「あの、光輝だけど」
え?光輝?
「え、今開ける!」
あたしは急いで玄関の鍵を開けてドアノブをひねった。
「おせーから、様子見に来た」
「あ、えっと知ってたんだ」
「あー俺が言ったから」
「ん?何を?」