好き、と言えば、

 「聡くん、どうしたの?みんなのとこ戻ろう」

 びっくりしたー。
 いきなり現れるなんてどういうこと!?

 あたしはみんなの元に戻ろうと歩み出した・・・のに


 「な、なに・・・?」



 掴まれた腕が強ばる。


 「みくちゃん・・・」

 何その顔・・・。
 いつも笑ってへらへらしている聡くんらしくなく大真面目な表情。


 「二人で抜けよ?」


 「え」




 ま、まさかの抜け駆けのお誘い!

 「いや、でも桜たちに悪いし、ねえ」


 あたしは何とか断る口実に頭を巡らせたが、うまいこと良い言い訳も思いつかない。


 「あー桜と櫂さんには言ってある」


 言うまでもなく2度目の「え」をもらした、あたし。


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