好き、と言えば、


 「おーいっ」

 考え事にふけっていると、見慣れた大きな手のひらが目の前でゆらゆらしている。


 「みく、シカトかよ」

 見上げれば愛しい人の姿。

 1限のガールズトークから気付けば、お昼休みに変わっていた。
 そんなに時間経ってたんだ・・・


 「ご、ごめん!考え事してた」

 「なんだよ、悩みでもあんのかー?」

 光輝はポンポンとあたしの頭をなでる。この瞬間がたまらなく好き。

 「違う、違う!進路のことっ」


 それなりの言い訳をすれば、

 「なるほどね。がんばれよー」


 ほらね、あたしが自分のことを考えているなんてちっとも気付かない。



 クラスの違う光輝がわざわざうちのクラスに来るのは、仲の良い友達に会うため。
 お昼休みだけは、彼を見ていられる。


 「みく!今日も光輝くんイケメンだね~」


 にやにやしながらお弁当を持ってくる桜。
 全く人の気も知らないで。


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