好き、と言えば、



 「さんきゅ。あとさ、」


 「うん?」

 「お前、好きなやついんの?」



 え?予想外の質問に思考停止。

 やっぱり聞こえてたんだ、さっきの桜の声。


 「えっと、いない、よ」


 こう答えるしかできない。


 「そっか・・・次の時間これ返しに来るわ」


 そう言って、光輝は教室を出て行った。

 それと同時に5限の開始を知らせるチャイムが鳴った。




 あたしは、ただただ戸惑っていた。
 光輝はどう思ったんだろう?

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