キミを唄う...









『うーす』

時計の針は まもなく11時をさそうとしていたときのことだった

晴輝の服は とてもだらしなくて 第2ボタンまで開けた制服から ネックレスが覗いていた

「松本!今何時だと思ってるんだ!?」

『何時って…もうすぐ11時』

怒鳴る教師に対して 平然とした態度で教室に入ってきた晴輝…

「学校には8時15分までに来るはずだろっ!?」

『うっせーなぁ…別に来ればいいだろ?』

教師は教卓を 激しく叩いた



そして 教室ないは 緊張と沈黙に包まれた…

「規則を守れ!お前たちはまだ…義務教育なんだぞ!!!」

『そんなの、俺達がなりたくてなったんじゃねーじゃん』

「いい加減にしろ!」

教師は 晴輝の胸倉を掴んで――

「お前みたいな奴がいるから…世の中は荒れていくんだ…」

『んなこと、知ったこっちゃねーよ』

――俺にはそんなこと、関係ないし

「お前みたいなのをなんて言うか知ってるか…?」

『は?』

「“社会のゴミ”って言うんだよ…!」

――ゴミ…?

――ふざけんじゃねぇ…

晴輝の頭の中で 何かがプツリと切れて――

咄嗟に 体が動いた

鈍い音が広がった…

目の前で 教師が 倒れこんでいた

額の部分に手をあてて…

晴輝は ただただその姿を見つめていた

立ち尽くしていた…

――“社会のゴミ”か…

クラスメイトが先生の傍についたり 他のクラスに言って先生を呼びに言ったりしてる姿が 晴輝の

瞳には 映らなかった…

ただ 自分のことを馬鹿にしたり 笑ったりされるのがむかつくだけ

むかついたら殴ればいい

――俺の視界から消せばいい

晴輝は 教室から無言で出て行った

「…松本って…顔はいいけど、性格は最悪だよねー…」

「何考えてんだか」

「はっきり言って…うざいし」

クラスの女子に陰口される存在だった

これだから 女子は嫌いなんだ…
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