キミを唄う...








目の前には 学年主任と 晴輝がケガを負わせた教師

隣には 親父

そして 窓側には 校長と教頭がいた

「さて…松本くん」

沈黙だった空気を 校長の言葉が切り裂いた

「キミはなんで、先生を殴ったんだい?」

『――別に』

顔をそむけながら 椅子に寄りかかって 足を組んだ

「理由がなければ…殴らないだろ?」

『…こいつが、“社会のゴミ”って言うから…腹が立った』

ケガを負わせた教師のほうに 鋭い視線をぶつけた 晴輝

「それは…松本が遅刻をしてっ、反抗的な態度をとったからです!!!」

晴輝がケガを負わせた教師が 立ち上がって 大声で発言した

「…小沢先生、今は彼に質問してるんです」

教頭が 冷たく刺すような口調で指摘した

「座りなさい」

教師は 歯がゆそうに座った

そして 晴輝を睨みつけた

「小沢先生…、どんな理由があっても生徒に向かって“社会のゴミ”なんて言ってはなりません」

「はい…」

「それに、松本くん」

校長が 晴輝の方に顔を向けた

「確かに腹を立てるのはわかりますが…我慢を覚えなさい」

――我慢…

「それに、今回の件は…キミが遅刻しなければ起こらなかったことですよ。それくらいは、わかりますよね?」

『…』

「松本っ、少しは反省の色を見せないか!?」

教師は 頭に血が上ると すぐに怒鳴る――

『先生―。あんたも少しは怒りっぽい性格…直せば?』

――あんたの声が

――耳障りなんだよ…

教師の表情は 一段と険しくなった――
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