キミを唄う...
『ほらー、そんな顔してるから彼女が出来ないんだよ。笑って笑って』

「ふ…ふざけるなっ!!!!」

“理性を失った”とでも言うのか…

教師は 目の前に校長や教頭 それに親父がいるのも忘れ 晴輝に向かって固い拳で殴ってきた

「小沢先生!やめなさい!!!」

「生徒に何やってるんだ!?」

それでも 今の教師には届かないみたいだ…

――この後、この教師はどうなるかな…?

そのことを考えると 殴られていても 笑みがこぼれてしまう…

外は夕暮れ…

5月に起きた“小沢が生徒に殴り続ける”の事件で 小沢は退職となった…












小沢の事件から2週間…

晴輝は学校の有名人物になった

“あいつに関わると、ろくなことない”なんて声もあがる

ますます授業に出る気がなくなった

それでも 一緒に授業に出ない友達はいた

「晴―、屋上行こうぜー」

――岡田 雄一…

茶髪で 右耳にピアスをたくさん付けている人

身長は晴輝より小さくて けど晴輝より明るい…

一緒にいて 飽きない人だ

『もちろん』

雄一は 晴輝の腕を引いて 屋上に向かった



太陽が激しく照り付けていて コンクリートの温度が上昇していた

「うわー、5月の下旬になると…あっついなー」

雄一は すぐさま貯水タンクの陰に入った

日当に比べると ずいぶん心地よい

黙って夏の風にあたっていると あることに気づいた

――風って、こんなに涼しかったんだ

知らなかった

知る気もしなかった

晴輝と雄一は しぱらく夏の風に浸ってたんだ…
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