キミを唄う...



授業開始のチャイムを 空を見上げながら聞いていたんだ…

『今日の授業…なんだっけ?』

「英語じゃね?」

“英語”の一言で ある人物が ふと浮かんだ

『ぁあ…小沢の教科か…』

「小沢は、もういねーよ」

『――…そっか』

――そうだよな

――小沢は、俺を殴って学校を去ったんだ

空に 白くて小さい雲が 気持ちよさそうに泳いでいた

この日の雲は 流れがいつもより 数倍速かった…

「おいっ」

屋上に向かう階段に顔を向けると 4人ほどの男性がいたんだ

金髪で ある程度ある慎重

全くない眉毛

そして 太く とてつもなく低い声…

――3年か…

すぐにわかった

「お前ら1年だろ?授業でろよ」

今にも“どいてくれ”って言っているようだった

『…先輩達だって、受験勉強として授業でたほうがいっすよ――』

鼻で笑うような口ぶりで 晴輝は反抗した

「ふん…今の1年は威勢がいいな。ママに“先輩に楯突いちゃダメ”って言われなかったのか?」

『言われてないね』

「それじゃー…ママの代わりに、お兄さん達が体で教えてあげようか?」

数人の3年は 見下しながら意味ありげな笑みを浮かべて 向かってきた

雄一と晴輝も 睨み付けながら 左足から 1歩1歩踏み込んだ…

『おう…教えてくれよ。1年はバカが多いんでねっ…』

「上等だ――」

真ん中にいた金髪の175センチくらいの奴は 右腕で殴ると見せかけて 左で晴輝の右の頬を殴ってきた…

鈍い音を発して 彼をよろつかせた

晴輝は 唾を吐き出して 怪しげに笑ったんだ

『なかなかいいじゃん』

そう言うと 彼も殴り始めた…

屋上での乱闘は 次のチャイムのなる9分前に終わった――
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