キミを唄う...
――よかった…今日1日変な顔で過ごすところだった…

「あれ?安心した系?」

彼女は 晴輝で遊んでいるような顔で 覗きこんできた

すると 彼の何かが弾けた

――“安心した系?”もとわと言えば…こいつが落書きなんかしなければ…!

『てめぇ…舐めたこと、ぬかしてんじゃねーぞ…?』

即行 彼女の胸倉を掴んだ

「…何でそんなに怒りやすいの?もしかして…ヒステリー?」

何もかもがわからなくなって 気づかないうちに 腕を引いていた

『女でも…容赦はしねーよ…』

「ん…別にいいけど…」

顔色ひとつ 変えなかった

――怖くないのか?

晴輝は震える手を抑えて 恐る恐る彼女に問い掛けた

『お前…怖くねーの…?』

「怖いけど…なんか、相当なことがなきゃ…あんたは殴らないでしょ?」

――は?

――そんなこと…

「だって…小沢に手を出したのも…気にくわないこと言われたからなんでしょ?」

――そういえばそうだ…

――“社会のゴミ”って言われた…

「だから、“あんたは絶対うちのことを殴らない”と思ったのっ」

――こんな初対面の奴に…

彼女から 腕をゆっくり離した…

――自分でも知らなかった自分を

――見透かされた…

『お前…名前は?』

すると彼女は 勝ち誇った表情で――

「澤田千沙。よろしくねー!」




――澤田千沙...か




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