キミを唄う...
『…』

晴輝とカナの沈黙は しばらく続いた…

「どうしたん?2人も黙っててー…」

後ろから千沙が声をかけて来た

きっと 晴輝とカナが静かだったのを 心配してきたんだろう

『別に…』

「嘘付け!晴がカナに酷いこと言ってんでしょ!?」

千沙が 勝手に想像して話を進めている

確かにあっていたけど 晴輝はそこまで自分が悪いとは思っていなかった

「…」

「ほらー、カナが黙っちゃったじゃん!晴、誤りなよー」

――なんで俺が…

晴輝が1人でムスッとしていると その姿に気づいた千沙が 彼のおでこにデコピンをしてきた

『――…っぅ…』

千沙にデコピンされた部分の痛みが 体中に広がる

「ほら、早く誤りなよ!」

晴輝は 一瞬千沙を睨んで――

『…ごめん』

人の言うことは聞かない晴輝が 素直に千沙の言うことを聞いた…

その姿に 雄一も絶句だったようだ

あぐらをかいて 1人でうな垂れる晴輝の頭を クシャクシャとなでる千沙

「ははは!よく言えましたねー晴★」

『…黙れー』

「怒らない怒らないっ」

最初は子ども扱いされているみたいで嫌だったけど 慣れてくるとそこまで嫌ではなかった

きっと…親父意外の人に 頭をなでで貰うなんてなかったから 嬉かったんだ…

“千沙は、いつでも笑顔な奴”

この時はそうゆう印象だったんだ…

晴輝に見せる表情は いつでも笑顔を絶やさない奴だった

「ほーら、いつまでも怒ってないで笑えよ」

『…笑うって…そんな笑えないし…』

すると 千沙は“おかめ納豆”みたいな変顔をしながら「これでどうだ!?」って言ったんだ

『…なんだお前…きぃんもっ!』

そういいながらも お腹を抑えて爆笑した

久しぶりに 心から笑った気がする…

なんだか…千沙を見ていると 自然に笑顔になれるんだ

雄一 カナ そして千沙

あんなに人を嫌っていた晴輝も いつの間にか この4人でいる時が 1番楽しい時間になっていった…
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