キミを唄う...


「ぁ…あの…プリント…」

あるクラスメイトが 晴輝にプリントを配ったときのことだ

とっても緊張して いや 緊張していたみたいだ…

晴輝も 彼女に気づいて――

『ぁあ、ありがと』

彼女の手元にあったプリントを お礼をいいながら受け取った

そして また雄一と会話を始めたんだ

すると ポテチをポリポリと食べる雄一が 急に変なことを言い出すのだ

「なんかー…お前、優しくなったな」

『は?』

「いやー、なんかさ…お前、また女子から人気になってるぞ」

『へー』

晴輝も机の上にあるポテチを1枚取って食べた

『まぁ、結局俺が女嫌いなのは変わらないし…、でも…千沙と安田は平気だけどな』

今までの晴輝には考えられないほどの微笑ましい表情で 雄一に笑顔で答えた

すると 急に深刻な表情をする雄一――

『――どうした?』

「お前さ、今の言い方だと…“千沙とカナちゃんが特別”みたいな言い方だぞ…」

ぶつかつ視線が やけに痛い…

晴輝は ちょっと間をとって――

『実際、そうかもね』

「は!?」

『だってさ、あの2人は大事な仲間だろー。お前だって、そう思うだろ?』

「…俺は――」

雄一は 言葉を詰まらせて 考えてもいなかった言葉を返してきたんだ…

「カナちゃんは大事な仲間だとは思ってる…。だけど…千沙のことは、仲間なんて目でみてねーよ」

朝 コンビニで買ってきた抹茶アイスを食べようとしていたけど 雄一の発言で スプーンを落としてしまった…

『お…お前…』

カッコよく決めていたのだろうか?

窓の向こうにある景色を眺めるふりをして 照れ隠しをしていた

『まじかよ!!!いつから!?』

晴輝も つい叫んでしまった

それに驚いたクラスメイトが みんなで沈黙の空気を作り出してしまった

『ぁ…わりぃ…』

1言誤って 今度は小さい声で語り始めた…


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