そして約束のコトバをかわしましょう

その約束から、時間を戻すこと10年。

時は現代。
私  佐竹 莉緒は高1の15歳。

幼い頃から友達作りは苦手だったから、
今も友達は数えるほどしかいない。

中でも親しいのがさばさば系美女の沙里。
そんな沙里とも知り合えていいクラスになりそう!

なんて思った私が馬鹿だった。

「きゃああああ!おはよう!」

なんて、黄色い声。
この声は・・・

由比 猛に向けられた挨拶。

私と約束を交わした猛は成長し、学校1の
モテ男になってしまった。

今ではコトバを交わす事はおろか、約束の事など
猛は忘れているはず。

呼び方も猛から 由比くんに変わってしまった。

なぜなら猛の周りには私なんかより可愛い女の子が
たくさんいるから。

「あー・・・ほんっと今日もうるさいわね。」

「え・・?何が?」

沙里がだるそうに呟いた。

「アレだよ、アレ。由比ファンうるさ過ぎ。
 ここは学校で、アイドルのコンサート会場じゃ
 ねっつの。」

沙里は綺麗な二重で猛ファンを睨んだ。

「たしかに・・・場所を考えてほしいよね。」

私は苦笑いで答えた。 というか苦笑いでしか答えられなかった。

沙里には10年前に私と猛がした約束の事を
言い出せないでいたから。
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