Voice

…数日後俺は優斗から思いがけない言葉を聞いた。

「恵美と付き合ってる。ごめん」

あんだけ深亜のこと愛してたのに。そう言った優斗の顔は何か俺に叫んでいる様に見えた。

…深亜と喧嘩して勢いで、だろ。

多分恵美は深亜と喧嘩してる時を知って自分の想いを告げたんだ。でも結局永遠の片思いどうし。

「あっそ」

俺の叶わない片思いもこれで実る。…ようやく深亜を手に入れられるのに嬉しくなかった。

「お前さ、俺らの為に恵美と付き合ってたんだよな?なのにごめん。でも俺…恵美のこと愛せないから」

一筋の涙が優斗の頬を伝う。

本当にこいつは昔から泣き虫だ。深亜や俺の為だったら、自分を犠牲にして守ってくれたっけ。

そんな親友に俺はどうして最初から叶わないと決め付けて闘わなかったんだろう?



「自業自得…だから」

そう言って軽く目を閉じ、ヘッドホンを付けて閉ざされた闇に…堕ちた。


ごめんって言うのは俺の方、だよ。


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