Voice
泣き続ける優斗をよそに、楽屋のドアが勢いよく開かれる。そこに居たのは、深亜だった。

「優斗…ごめん…」

泣きながら深亜が優斗に駆け寄る。

…わかってても、叶わない思い抱えてるのは辛い。深亜が好きなのは、優斗だけなのに。

「あたし、優斗の事好きだよ。でもね寂しかった。側に居れないのが…」

「ごめん」

「もう一回、あたしと付き合って?」

優斗が涙を吹いてその言葉に頷く。そして俺が居ることを忘れてるのか軽く深亜にキスをした。

これ以上見てたら何か言い出しそうだったから廊下に出ると、恵美が居た。

「もしかして、見た?」

「う、ん」

作り笑いを浮かべて見せる恵美。でも目が笑ってない。何時の間にか作り笑いが上手になってたけど…

分かるんだ。俺と同じだから……

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