それは、ある晴れた日のこと。
そして引っ越しの日。
お袋と二人、
車に乗り込んだ。
なんだか、
この町を目に焼き付けておかなくちゃいけないような気がして
じっと窓の外を眺めていた。
すると、ちいさな赤い屋根の一軒家にさしかかった。
俺は
いてもたってもいられず、
「とめてくれ」
と叫んだ。
お袋は少し驚いたけど、
なにか察したように、
「時間がないから手短にね。」
と言って
車をとめてくれた。
そして
あの赤い屋根の家の前。
リサの、
家の前。
....今、今伝えなかったら
....後悔する。
後悔はしたくない。
2度、3度
深呼吸をしたあと
決意が揺らぐ前に、
インターホンを鳴らした。
「はーい!」
すぐに勢い良く玄関の扉から出てきたリサ。
「リサ、俺....」