赤ずきん〜もう一つのおとぎ話〜
「…あなたなら…。
あなたなら構わないと
本気でそう思った。
あなたの全てがわたしを
食べるための全てなら
……わたしの全てはきっと
あなたに食べられるための
全てなのよ」
臆病な狼とは裏腹に
あまりにあっさり
君は言い放ってしまうから。
ああ…
なんて愚かな狼…。
「……赤ずきん」
「なぁに?狼さん」
叶うはずのない恋だと
わかっていたのに。
「……俺も病気になったみたいだ」
許されることのない愛だと
わかっていたのに。
「じゃあ…お揃いね」
無邪気に笑う君。
必ず後悔すると
わかっていたのに。
この笑顔が見れなくなる日が
そう遠くでないことも
すべてわかっていたはずなのに…。