赤ずきん〜もう一つのおとぎ話〜
…ほんの一瞬だった。
ズドン。
音がして、
あまりの衝撃で
体が大きく揺れた。
猟銃の弾が
体を突き抜けて
重さとだるさが襲う。
想像を絶する痛みに
瞼は耐えられず
…俺は独り
最後の時を迎える…
ー…はずだった。
伴うはずの痛みや
苦しみはなく
目の前にあるのは
温かくて…、柔らかい…。
………想像した恐怖を
否定するために開いた瞼は
…それを肯定するに
過ぎなかった。
目に飛び込んできたのは
俺の体に覆い被さる
小さな
小さな赤ずきん。