俺が恋したお嬢様
「………」
「翔くん?」
車に乗らない俺に雪乃の不思議そうな声がかけられる。
「…………」
なんで…?
なんであいつがいんの?
歩いていく姿を目で追いかけるうちに、気付けば俺は後を追って走り出していた。
脇目も振らず、その後ろ姿を追いかけていると、ドンッと人にぶつかってしまった。
「あ、すみませんっ…」
ぶつかった人に謝り、すぐ視線を前に戻すが、その姿は人混みの中に消えてしまっていた。