俺が恋したお嬢様



「…びっくりした」


「私もよ?翔と会うなんて…」


小さくクスッと微笑む彼女はとても細くて白く、茶色い肩にかかる綺麗な髪を揺らした。



「この前、見かけたよ」


そう言うと、「えっ?」と驚いた顔をした。



「追いかけたけど、見失っちゃった…」


ハハッと力無く笑うと、彼女も困ったように笑った。



沈黙が続き、俺はアイスコーヒーに目を落としながら名前を呼んだ。



「…玲奈」


「……なに?」


視線を上げると今にも泣き出しそうな彼女と視線が絡んだ。



「会いたかった…」


そう言う俺の言葉に反応するように、カランとアイスコーヒーの氷が音を立てた。



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