俺が恋したお嬢様
「雪乃ちゃん」
校門で待っていた雪乃ちゃんは俺の声に反応し、俯いていた顔を上げた。
「迎えの車まだみたいですね」
「はい…」
シーン…と沈黙になる。
何を話せばいいんだ?
隣にいる雪乃ちゃんを見下ろす。
俺の肩にも満たない身長に、白い肌に艶やかなストレートな黒髪。
顔も幼いが可愛い部類に入ると思う。
そんなことを考えながら、雪乃ちゃんを見つめていると、フイッと俺を見た雪乃ちゃんと目が合った。
ヤバッ、見すぎた!と慌てて視線を逸らした。
「あの、車来ましたよ」
「えっ?あぁ、うん」
何もなかったように心を落ち着かせ車に乗る。
何、慌ててんだ。
そんなことより婚約のことだ。
「…今日、婚約について親と話し合うつもりです」
「…えっ?」
少し驚いたような表情をされる。
「雪乃ちゃんも中学生で婚約は嫌でしょう?」
「…そう…ですね」