俺が恋したお嬢様
「翔くんもスーツ姿、格好いいです!」
「そう?ありがとう」
雪乃ちゃんに格好いいって言われたよ。
ちょっと機嫌が良くなる自分が恥ずかしい。
「あ、この前は翔くんのこと"お兄ちゃんみたいな人"って言って、ごめんなさい」
しゅん…とする雪乃ちゃん。
「いいよ、気にしてない」
本当はめっちゃショックだったが…。
「婚約すること、内緒にしとかないといけないと思って、つい…」
「…そうなの?」
「えっ?」
なんだ…俺てっきり本当にお兄ちゃんみたいに思われてるのかと思った。
「雪乃ちゃん」
「はい」
不思議そうに俺を見つめる雪乃ちゃん。
「僕、雪乃ちゃんが…」
俺の言葉を遮るように、コンコンと戸がノックされた。