【完】アイドル彼氏★好きになっちゃった
翼の視線は、冷たいわけじゃないんだけど……


距離を感じずには、いられない。


「元気そーじゃん、安心した」


……なんで?


もっと冷たい言葉をかけられると思ってたのに……


翼の言葉に、気が動転してくる。


さっきまで、私にイライラしてたわけじゃなかったのかな。


半年前にあんな別れ方して、寂しさから逃げてズルいって思ってなかった?


私の時はずっとあの日から止まってしまってるけど……


翼は、もう着実に自分の道を歩いていて、


私が思うほど、


もう、何も気にしてないのかもしれない。


そう思ったら、余計に自分だけが取り残された気がしてくる。


まだ……私は翼を忘れられないでいるからこんなに苦しいけど、


翼はもう吹っ切ったんだ……。


向井くんは、キョトンとして私たちを見ている。


「じゃ……」


翼は、そのまま保健室を出ていった。


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