【完】アイドル彼氏★好きになっちゃった
「そんなの……ダメだよ」


ボソッと呟くナナの声には、全く説得力なんてない。


「ダメって何が?……やっぱ、会いたいときに会えるヤツがいい?」


「……そう、思ってたけど。それは、違ったかも。近くにいてくれても、好きになれないと意味がないっていうか」


やった!


じゃ、類が言ってたバイト先のヤツは振ったっつーこと?あと、向井も。


「……じゃあ、オレでよくね?そりゃ毎日会うとかは無理だけどさ」


「だって……」


「だって?」


「また同じこと、繰り返しそうで怖いよ……。別れても寂しいけど、付き合ってるのに、会えないのはもっと寂しいの……」


ナナは顔を上げて、泣き顔を見せてくる。


「……そんなの、オレだってそーだし。だけどさ、ナナと会ってるときのオレは、ナナだけのもんじゃん。それでもダメかな」


「あたしだけの……」


「こんなこと、他の子にはしないしな」


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