【完】アイドル彼氏★好きになっちゃった
「……あっ、電話だわ。晴弥さんね」


ギクリ。


南さんは怖くねぇけど、晴弥さんは怖ぇ。


南さんにケータイを返すと、すぐに電話に出ていた。


……晴弥さん、ナナとのこと黙ってくれてたけど……さすがに今回のことでは、口出さないわけにはいかねーよな。


なんて言われんのか、想像もつかねぇし。


南さんは電話を切ると、感情のこもらない冷たい瞳で、オレを見据える。


「今日の仕事はキャンセルよ。ウチまで送るから、自宅で頭冷やしなさい」


「キャンセル!?今日って明日の生放送のリハじゃん。出ねーと、ヤバい」


「類だけ連れて行くわ。翼は、今日は来なくていいそうよ」


なんだ、それ。めちゃくちゃだな。


「明日、ミスったらどーすんの?」


「翼はね、事務所に動かされてるって思ってるだろうけど、お金もらって仕事してるのよ。プロなら……明日完璧にこなしなさい」


マジか。


晴弥さん、オニだな。


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