ふいうち
ふいうち
「お前、またフラれたの?」
もうすぐ日をまたぎそうな時間、独身男の部屋でべろべろに酔っぱらった女が一人。
「いい加減、フラれたくらいでやけ酒すんなよ、いい大人なんだから」
あーあーあー、また床に寝そべろうとしてるよ。
「家まで送ってやるから、立て」
加藤典弘、23歳、フツーの会社員。
目の前でへたりこむのは、宮本奈々緒、同じく、23歳、OL。
今日は、半年付き合った年上彼氏に、浮気して捨てられたからって、浴びるようにお酒飲んできたらしい。
「おい、奈々緒、何一人でしゃべってんだ?早く、ほら」
ぐでぐでになってる奈々緒を引き上げるけど、どうも持ち上がらない。
こんなことは、今日に限ったことではなくて、いつもこうなのだ。
こいつがフラれると、俺の家に押しかけてくるのがもはやお決まりのパターン。