ふいうち
「お前はここでじっとしとけよ?」
俺はそれだけ言うと、自分の部屋に奈々緒一人をおいて、家を飛び出した。
もちろんそいつのとこに行くために。
チャリをかっ飛ばして向かったそいつんちに乗り込むと、部屋の中で女と二人、重なりあっていた。
この期に及んで浮気か、?
そのときの俺には、他人のSEXが途中でもなんでも、そんなものは関係なかった。
なにがなんでもそいつを殺すぐらいしなけりゃ気が収まらないくらい。
悲鳴をあげて体を隠す女と、唖然とするそいつ。
またその姿に俺の怒りのボルテージがあがっていく。
ベッドから引きずり下ろしたそいつになぐりかかろうとしたとき、
「典弘!!!やめて!!!」
驚いた。
さっきまで憔悴しきっていた奈々緒の姿がそこにあったから。
涙でぐちゃぐちゃの顔の奈々緒が俺の振り上げた腕にしがみついてきた。
「奈々緒!そこまでしてなんでこいつなんか庇うんだよ!?」
「違うの!あたしじゃないの!!」
いやいや、とでも言うように首を横に振る奈々緒。
「は?何がちげーんだよ!?」
怒りの収まらない俺は、奈々緒を
振り切ってもう一度殴りかかった。