ラブ・シンドローム



青木紗英(アオキサエ)。

高校を卒業後、短大に進学。
そして、今は実家近くの銀行で働いている。



高校生のときも、短大生のときも、それなりに恋をした。

だけど恋っていつかは終わってしまうもの。

23歳のあたしはもう、恋に恋なんてしない。

あの頃のあたしは、もうどこにも居ない。普通の大人になってしまった。



「高校生のときは、楽しかったね」

まるで独り言のように呟くと、目の前に座っていた夏実が大きく頷いた。


「制服着て、毎日ちょっとしたことに一喜一憂して、あれってもうきっとこれから先、経験できない楽しさだよね」



夕飯の準備をしなきゃ、と言い出した夏実に、そんなことを言って、あたし達は、別れた。



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