ラブ・シンドローム
中学校の校舎の隣にある高校のグラウンドを眺める最高の座席。
週に2回、このグラウンドにはりっくんが体操着を着て、スポーツに励んでいる。
「まったく…体育の授業を覗き見って一歩間違えたらストーカーだからね」
ほどほどに、と釘を指す梨乃の言うことなんてほとんど耳には入らない。
「来た来た来たー!」
半袖に指定の長いジャージを履いたりっくんがグラウンドに歩いてくる。
「りっくーーぅん!!がんばってね!た!い!い!く!」
心の中でつぶやいて、満足な気分になる。