カラフル
見たことのない自分
それからは、ほとんど部屋から出なかった。学校もずっと休んでいた。
家族は、あたしのことをすごく心配してくれた。
トントン。
ドアをノックする音。お母さんの優しい声。
「みお、ご飯作ったから食べてね。」
それだけ言ってお母さんは一階へ行った。
ドアを開けると、おぼんの上におにぎりと、飲み物があった。
なんにも食べてないからお腹すいていた。
そのおにぎりは、あたたかくて、おいしかった。目から涙がおちた
食べ終わるとお皿の下に手紙があった。
《 みおへ
食べやすいようにおにぎりにしといたからね
学校行ってないけど、大丈夫?何があったかは、聞かない。言いたくないでしょ?
言える日が来たら、ちゃんと言ってね。
友達が昨日わざわざ来てくれたんだよ。
寝てるみたいだったから、起こさなかった。
みんな心配してるんだから、ちゃんと部屋から出てきなよ。
友達にもメールしておきなね》
お母さんの一つ一つの言葉が嬉しかった。
それにみんな心配して来てくれたんだね。
ありがとう。
お母さんは、いつも理由を無理に聞かないんだ。言える時に言ってって。
そんなお母さんがあたしのお母さんで良かったって今まで思ったことがあった。そして今日、改めてありがとう
おぼんを持って一階へ行った。
キッチンにおぼんをおいて、リビングに入った。
みんな驚いているようだった。そりゃそうだょね。
「みお、もう平気
なの?」
「うん」
やっぱりお母さんは優しなって思った。
普段口数の少ないお父さんも心配してくれていた。
リビングにある大きな鏡を見ると、目が腫れて、前よりずいぶんと痩せたような気がした。