さくらんぼロリーポップ
「もう一回言っとく。おまえが見張るのは龍じゃなくて俺だ」
「……そんなの」
「次間違えたら今度は人に言えないようなとこに付けるからな。歯型」
「っ!」
こう吐き捨てた豹は藍楽の驚いた目を見て、満足げに笑みを浮かべながら身を翻して行ってしまった。
そこでようやく藍楽はさっきの痛みの正体に気付く。
「……噛まれた」
ジンと痛みの残る肩に指先で触れ、藍楽の中に怒りと恥ずかしさが今更沸き上がって来た。
そしてさっき頭を過ぎった仮想をキッパリと否定する。
あれは天の邪鬼な愛情の裏返しなんかじゃない。
全ては龍への理由のわからない嫉妬から来るモノだ。
だから龍の味方をする自分が気に入らなくて嫌がらせをしてくるのだと確信した。
……こうなったらやっぱり龍に真実を話して手を組むべきか。
「……そんなことしたらまた一人じゃ何も出来ないってバカにされるかも」
いっそ逃げ出してしまいたいこの状況に、藍楽は深い深い溜め息を零さずにはいられなかった。